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003 戦争について考える
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New York  Central Park
   Strawberry Fields

 モニュメントの中央には
      IMAGIN の文字が


先日、書店で一冊の本を見つけました。
「 イラクの小さな橋をわたって 」 池澤夏樹・文 本橋成一・写真 光文社 です。
この本の中には、池澤さんが2週間ばかりの間イラクを滞在して出会った人々の姿がありました。
笑顔でカメラの前に立つ人ばかり。
日本の遊園地で見る光景となんら変わらない、楽しそうに回転ブランコに乗る子どもたち。
バビロンの遺跡を遠足する子どもたち。
カメラの前に集まる大家族の面々。
モスクに集まる大勢の人々。
市場の賑わい。

テレビのニュースや新聞では、イラクへのアメリカの攻撃がいつ始まるかということが大きく取り上げられ、世界の力ある国々の駆け引きの様子は事細かに報じられています。
しかし、イラクのこと、イラクに暮らす人々の目線というのはなかなか伝わってこない。
あれほど同時多発テロの時は、悲惨さがこれでもかというほどつぎからつぎに伝わってきたのに、雲泥の差です。
(同時多発テロのときは、テレビにかぶりつきでいました。ニューヨークに出かけたのが一ヶ月前ということもあり、大変なショックでした。)
戦争が始まればミサイルがとび、それでたくさんの人が傷つき、死んでいく。
そんな分かりきったことの中に、人が死んでいくということへの実感があまりにも希薄な世界に、僕は暮らしている。

とにかくまず、イラクだろうとどこだろうと、そこには僕たちと同じ人間の、普通の暮らしがあるということを知ること、わずかな情報の中からでも、そこに暮らす人々の生活を最大限想像力を働かせて思い描くこと。
これができないようでいては、すぐ目の前の人への優しささえ忘れていってしまいそうな気がしてきます。


                               (2003.03.01)


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